「故人の希望」と、「残された人の気持ち」を考えた話
サポートの現場から
ご主人を亡くされたある女性のお話です。
長い闘病生活の末、ご主人は亡くなりました。
生前、ご主人はこう話していたそうです。
「自分が亡くなったら、遺骨は海に散骨してほしい。お墓はいらない。」
そのため、お墓の準備はしていませんでした。
ご主人が亡くなった後、女性は悲しみの中でさまざまな手続きを進めました。
役所への届け出、年金や保険の手続き、相続のこと――。
ようやく少し落ち着いた頃、仏壇のそばに置かれた骨箱を見て、ふと考えたそうです。
「これから、この遺骨をどうすればいいのだろう。」
ご主人の希望は散骨でした。
しかし、いざ散骨をしようと思っても、分からないことばかりでした。
どこに散骨するのか。
自分でできるのか、誰かに依頼するのか。
手元に残る遺骨はどうするのか。
今は自分ひとりで決めなければなりません。
「早く決めてあげたい。」
そう思う一方で、
「もう考えることに疲れてしまった。」
そんな気持ちもあったそうです。
そして悩み続けた末、女性はご主人の遺産の一部を使い、自宅近くの墓地にお墓を建てることを選びました。
ご主人の希望とは違う選択です。
当初は、「故人の意思を尊重しなければいけない」と考えていたそうです。
それでも最終的には、自分自身の気持ちを優先しました。
お墓という形を残し、手を合わせる場所がほしかった。
そこに行けば、ご主人の存在を感じられる気がした。
だからお墓を建てたのだと話してくださいました。
この選択が正解だったのか、不正解だったのか。
それは誰にも分かりません。
大切なのは、故人を想う気持ちです。
そして同じくらい大切なのが、残された人の気持ちではないでしょうか。
もし生前に、「散骨してほしい」という希望だけでなく、
なぜ散骨がいいのか。
どこの海を考えているのか。
どのような形で見送ってほしいのか。
そんなことまで一緒に話し合えていたら、残された人の負担は少し軽くなったかもしれません。
相続や終活の話というと、財産のことを思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、本当に大切なのは、残される人が困らないように準備しておくことなのかもしれません。
「自分が亡くなった後のこと」
一度、ご家族と話してみてはいかがでしょうか。
「自分はこうしてほしい」と伝えることは大切です。
しかし、その希望を実現するのは残されたご家族です。
生前のうちにしっかり話し合い、必要な準備を整えておくことで、ご家族の負担を減らすことができます。







